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名古屋高等裁判所 平成9年(行コ)10号 判決

名古屋市千種区田代町瓶杁二二番一一八号

控訴人

早川東助

右控訴代理人弁護士

佐藤浩史

名古屋市西区押切二丁目七番二一号

被控訴人

名古屋西税務署長 稲吉丈夫

右指定代理人

河瀬由美子

堀悟

片桐教夫

太田尚男

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一当事者の求める裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が控訴人の平成元年分所得税について平成三年九月二五日付けでした更正処分のうち、総所得金額五四一八万〇九〇七円、納付すべき税額一八〇一万七〇〇〇円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分のうち過少申告加算税の額一七四万八五〇〇円を超える部分をいずれも取り消す。

3  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文と同旨

第二当事者の主張

当事者の主張は、原判決の「事実及び理由」欄の「第二 事案の概要」の記載を引用する(ただし、原判決五頁五行目の「五六九万四一七七円」を「五六九万四一七八円」と訂正する。)。

第三証拠

証拠関係は、原審記録中の書証目録及び証人等目録並びに当審記録中の書証目録の記載を引用する。

理由

一  当裁判所も、控訴人の控訴理由につき仔細に検討を加えた結果によっても、控訴人の被控訴人に対する請求は棄却すべきものと判断するものであって、その理由は、次のとおり付加及び訂正するほか原判決の「事実及び理由」欄の「第四争点に対する裁判所の判断」の記載を引用する。

1  原判決一七頁七行目の「されている」の次に「(争いのない事実)」を付加する。

2  同一九頁五行目の「一六、」の次に「一七の一ないし一五、」を、同頁六行目の「によると、」の次に「清一の死亡後、控訴人が経営者として早川商店の事業を継続すること、清一の他の共同相続人も控訴人が早川商店を経営していくことを了解していたこと、」を、同頁一一行目の「提供していること、」の次に「右担保差入証(昭和五五年一二月四日付け)には、本件株式(一)を含む本担保物件につき、早川商店こと控訴人のトーアスチールに対する現在及び将来一切の債務の弁済がされない場合には何時でも法定の手続によらずに処分し、その取得代金を右弁済に充当することに異議がない旨の記載がされていること、」を付加する。

3  同二一頁一二行目の「五六九万四一四七円」を「五六九万四一七八円」と訂正する。

4  同二三頁四行目の「占有しているもの」の次に「即ち簡易の引渡しがあったもの」を付加する。

5  同二四頁一一行目の「している。」の次に「そして、控訴人は、平成元年二月と三月に本件株式等をハヤカワカンパニーに譲渡したとして、ハヤカワカンパニーの貸借対照表にこれらを資産として計上し、本件株式等の配当収入についても、これまで控訴人個人の収入として所得税の確定申告していたのを平成元年分からは申告せず、他方、ハヤカワカンパニーの平成元年三月までの事業年度では、ハヤカワカンパニーが本件株式等を取得したことを前提として、右株式の配当収入を益金の額に算入したうえ、その配当収入に対して源泉徴収された所得税の控除も受けている(甲二七、乙一八、一九、三五、三六、弁論の全趣旨)。」を付加する。

6  同二五頁六行目の「ことになる」を「ことになり、また、所得税法九条一項一一号(昭和六三年法律一〇九号による改正前のもの)、同法施行令二七条の三(右同)の関係でも、本件株式等の譲渡は、いずれも同一銘柄で一二万株以上譲渡されていることになるというべきであるから、非課税所得にならない」と訂正する。

二  よって、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 渋川満 裁判官 遠山和光 裁判官 河野正実)

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